アルコールなしでも気分はアガるか?の問いに対する「ユーフォリック飲料」というひとつの解

ナレッジ・豆知識

アルコールなしで「気分がアガる」「精神状態にポジティブな影響を与える」、そんなコンセプトのノンアルコール飲料が「ユーフォリック飲料」です。

アルコールを飲みすぎると健康に良くないことは周知の事実ですから、アルコールなしで気分がアガるならそちらを選びたいという人も多いでしょう。

この記事では「ユーフォリック飲料」とはどんなものなのか、どんな成分が入っているのか、どんな効果が期待されているのかをご紹介します。

「ユーフォリック飲料」とは何か?

ユーフォリック飲料とは、お酒ではないのに、飲んだ人の気分を高揚させたり、心地よさやリラックス感などのポジティブな影響を与えることを目指して作られたノンアルコールの飲み物を指します。

「ユーフォリック飲料」という呼び方のもとになったのはアメリカのノンアルコール飲料ブランド「Kin Euphorics(キン・ユーフォリクス)」です。アーユルヴェーダ医学を取り入れ、気分を高揚させる成分や頭をはっきりさせる成分などを配合し、健康、気分、幸福感をすべて高めることをコンセプトに作られています。

「euphoric(ユーフォリック)」という単語は、ギリシャ語の「euphoria(ユーフォリア)」に由来しています。「ユーフォリア」とは、幸福感や多幸感といった、心が満たされた心地よい状態を指す言葉です。

ユーフォリック飲料=「アダプトゲン」+「ヌートロピック」+α

ユーフォリック飲料には一般的に、ストレスに対する対処を助ける成分「アダプトゲン」脳の機能を高める成分「ヌートロピック」、そしてその他にも心や体にポジティブな影響をおよぼすさまざまな成分がブレンドされています。

ストレス解消

アダプトゲン:ストレスへの適応をサポートする成分

アダプトゲンとは、体がストレスに適応し、心身のバランスを保つ手助けをする成分のことです 。  

体がストレスを感じた時に分泌されるホルモン(コルチゾールなど)のバランスを整えることで、ストレスを和らげるのに役立つと考えられています 。これにより、疲労回復や睡眠の質の向上、活力が湧いてくるなどの効果が期待されています 。  

一般的なカフェイン飲料のように、急に元気になってその後どっと疲れる(いわゆる「クラッシュ」)のではなく、穏やかに心身の働きをサポートします。  

代表的なアダプトゲン成分

  • ロディオラ・ロゼア:さまざまなストレスに体を順応させる作用があるほか、疲労軽減にも役立つとされている。英国およびEUの一部では伝承医薬品として販売されている
  • 霊芝(レイシ):古くから薬用キノコとして健康維持に用いられてきた。日本ではマンネンタケとも呼ばれる。
  • ホーリーバジル:さまざまな種類があるバジルの中でもメディカルハーブとして薬効が高いとされる。抗ストレス効果の他、抗菌作用、免疫力アップ効果などが期待される。
集中力向上

ヌートロピック:集中力など、脳の働きをサポートする成分

ヌートロピックは、集中力や記憶力、頭の冴えなど、脳の働きをサポートするとされる成分です 。日本語では「向知性薬」と訳されることもあります 。  

脳への血流を良くして脳機能を高めたり、脳内の神経伝達物質に働きかけて集中力や記憶力、注意力をサポートすると考えられています 。  

過度な刺激ではなく、穏やかで持続的な効果が特徴です 。  

代表的なヌートロピック成分

  • L-テアニン: お茶などに含まれるアミノ酸で、リラックス効果や集中力向上の効果があると言われる。 
  • ライオンのたてがみ茸:神経成長因子(NGF)の生成を促進する可能性があるという研究から、集中力向上や認知機能の維持に有効なサプリメントとして注目されている。
  • イチョウ葉::脳への血流を増やし、記憶力や注意力の維持、情報処理速度の向上が期待される 。  

その他の成分:様々なアプローチで心地よさを追求

ユーフォリック飲料には、アダプトゲンやヌートロピック以外にも、様々なアプローチで心身の状態を向上させることを目指す成分をブレンドする場合もあります。

  • GABA(ギャバ): 緊張やストレスを緩和し、睡眠の質向上やリラックス効果をもたらすとされている。人間の体内では脳の興奮を抑える働きを持つ神経伝達物質として働く。
  • CBD(カンナビジオール): リラックス感をもたらすことで知られる。大麻草から抽出される成分だが、依存性や危険性はないことがWHOにより報告されている。  
  • ノンアルコールスピリッツ:蒸留などの技術を使って、アルコールを含まずに、ジンやウイスキーのような風味を再現した飲み物。  

副作用や予期せぬ影響には注意!

ユーフォリック飲料に含まれる成分には研究段階のものもあり、効果の度合いや長期的な影響についてははっきりしない点もあります。さまざまな成分がブレンドされている場合、それぞれの成分が体にどう影響し合うか予測が難しいこともあります。

どんな成分がどのくらい入っているか製品の表示をよく確認し、少量から試してみるとよいでしょう。持病がある方や現在薬を飲んでいる方は、医師や薬剤師に相談してください。

成分の中には副作用が確認されているものもあります。例えば、ストレスを和らげる効果のあるアシュワガンダは、人によっては下痢や頭痛、肝臓に影響が出る可能性が報告されています 。さらに堕胎作用があるため妊娠中に摂取してはいけません。

南太平洋諸島の先住民がアルコールの代わりに飲用するカヴァは、ストレスや不安を和らげアルコールを飲んだように気分が良くなりますが、肝臓への影響が報告されています。日本をはじめとする一部の国では、食品やサプリメントとして販売することが禁じられています。

ノンアルコールの新たなアプローチ、今後に注目!

ユーフォリック飲料は、アルコールやエナジードリンクとはまた違ったアプローチで活力や楽しい気持ちを喚起しようとする新しい試みです。ノンアルコールで楽しめる飲み物の選択肢のひとつとして、今後の展開が注目されています。

ストレスを緩和して楽しい気分になることや頭をすっきりさせることが特徴ですが、含まれている成分は製品によってさまざまです。海外製品の場合、成分表示が外国語で書かれている場合も多く、日本とは法規制やルールが異なることもあるので、特に注意して確認するとよいでしょう。

どのようなものかを正しく理解し、新しいノンアルコールドリンクのトレンドを楽しみましょう!

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