「お酒の飲みすぎは身体によくない」というのは周知の事実。では、具体的にどのくらい飲むとどのような悪影響があるのでしょうか。
この記事では、大阪大学の研究チームによる「飲酒量と腎機能低下リスクの関連」についての研究をご紹介します。
毎日日本酒を2合以上飲む人は腎機能低下リスクが高い
大阪大学キャンパスライフ健康支援・相談センターの中村祐子特任助教(常勤)、山本陵平教授らの研究グループは、2012~2017年度に大阪府で特定健診を受診した169,272名の男女を対象に、腎機能を表す数値(推算糸球体濾過量eGFR)の推移を数年間観察しました。
すると、「毎日日本酒2合以上飲酒する」グループは「飲まない」グループと比べて、腎機能低下のリスクが高いことが示されました。
30%以上腎機能が低下するリスクは、飲まない人の1.2~1.6倍
この研究では、対象者を飲酒量別に「①飲まない」「②たまに飲む」「③毎日1合未満」「④毎日1~2合未満」「⑤毎日2~3合未満」「⑥毎日3合以上」の6カテゴリに分類し、中央値2.8年間観察しました。
その結果、毎日日本酒2合以上相当の飲酒をする群(カテゴリ⑤と⑥)は、飲まない群と比較して腎機能が30%以上低下するリスクが約1.2~1.6倍になることが示されたといいます。
ただしこの結果は男性の結果であり、女性については飲酒者が少なかったことから、十分な検討ができなかったそうです。
この研究成果は、2025年7月13日に国際医学誌「Journal of Nephrology」(オンライン)に掲載されました。
大阪大学 – Research at UOsaka
毎日日本酒2合相当の飲酒から、 男性の腎機能低下リスクが高まる
https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/research/2025/20250903_2
日本酒2合に含まれるアルコール量は約40g
日本酒2合(360ml)には、約40gのアルコールが含まれています。
これは、ビールやアルコール度数5%の缶チューハイなどならば1000ml、ワイン(アルコール度数12%程度)ならば420mlに相当します。
純アルコール量(g)は飲んだ容量(ml)とアルコール度数とアルコールの比重0.8を掛け合わせて算出できるので、自身がよく飲むお酒とその量から計算してみるとよいでしょう。
<飲料に含まれる純アルコール量を求める計算式>
純アルコール量(g)=容量(ml)×アルコール度数(%)×0.8
厚労省の定義では、「純アルコール20g/日」が適度な飲酒
過度な飲酒は、腎臓だけでなく多くの臓器にさまざまな悪影響をおよぼします。
今回の研究結果では「毎日日本酒2合以上」が高リスクの飲酒量として示されていますが、厚生労働省が「節度ある適度な飲酒」として定義しているのは1日平均純アルコールで約20g程度、つまり「毎日日本酒1合程度」です。
腎臓をはじめとする自分の身体へのさまざまな影響を考慮しつつ、適切な飲酒量を心がけましょう。

 
  
  
  
  

