“お茶で酔う”新感覚「茶酔」で、アルコール抜きの自由な交流と深いリラックスを

ナレッジ・豆知識

お酒を飲んで「酔う」のは当たり前ですが、お茶を飲んで「酔う」というのはどういうことでしょうか。実は、お茶で独特の“酔い”を体験できる「茶酔」(ちゃすい、中国語では「チァーズィ」)という体験があります。

お酒が苦手な人や飲めない人、新しいリラックス方法を探している人、この不思議な感覚を体験してみませんか?

リラックスしながら覚醒する「茶酔」とは?

「茶酔」とは、熱いお茶を何煎も飲むことで、お茶に含まれる成分と温熱効果が作用し、まるで酔ったかのようにリラックスしながらも、頭はすっきりと覚醒する独特の感覚を指します。

アルコールの酔いとはまったく異なり、頭がぼーっとしたり、酩酊状態になったりするものではありません。

お茶に酔うってどんな感覚?

「茶酔」を体験すると、まるで体が宙にふわりと浮いたような浮遊感があり、風のように体が軽く感じられるといいます。 一方で、頭の中は非常にクリアで、ぼんやりすることはありません。まるで気持ちよく眠る直前のような、瞑想に近い感覚と表現されることもあります。

これは単なる興奮作用ではなく、身体はリラックスしながらも精神は覚醒しているという、独特のバランス状態です。

 熱いお茶を飲み続けることで、体の中からじんわりと温かさが広がります。特に「お腹の真ん中がポカポカと温まり、ふんわりとした高揚感に包まれる」と感じる人もいます。

茶酔をもたらすミネラルを多く含んだ「岩茶」

どんなお茶を飲んでも「茶酔」を体験できるわけではなく、酔いやすいとされているお茶の種類があります。一番よく挙げられるのは、中国福建省北部の武夷山で作られる烏龍茶の一種、「岩茶(がんちゃ)」です。

武夷山の様子
武夷山中国福建省北部の武夷山

武夷山は世界自然文化遺産にも登録されており、、その岩肌に茶樹(お茶の木)が根を張っています。この茶樹からとれる岩茶は、岩が持つ様々なミネラルを蓄えることで、複雑で深みのある味と香りになるのです。この独特の風味は「岩韵(がんいん)」と呼ばれます。

岩茶に含まれるカルシウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、亜鉛といったさまざまなミネラルが、お茶の基本的な成分(カフェイン、テアニン、カテキンなど)と合わさることで、茶酔の独特の感覚をもたらすといわれています。

岩茶以外に、同じく烏龍茶の一種である鉄観音や、黒茶の一種であるプーアール茶や金茯茶(キンフーチャ)でも、茶酔の感覚を味わいやすいようです。

茶酔の感覚を味わうには、何煎も時間をかけてちびちびと飲み続けることが大切です。烏龍茶は何煎も楽しむことができるので、熱いお湯で淹れてゆっくり楽しみましょう。

高揚とリラックスと集中力、異なる作用による茶酔のメカニズム

「茶酔」がどのようにして起こるのか、科学的に完全に解明されているわけではありません。諸説ありますが、カフェインやテアニン、ミネラル、温熱効果の複合作用だといわれています。

お茶に含まれるカフェインには、交感神経に作用して身体を覚醒させ、気分を高揚させる効果があります。一方、お茶に含まれるテアニンや、岩茶特有の豊富なミネラル成分には、リラックス効果頭をすっきりはっきりさせて集中力を高める効果があるとされています。

高揚とリラックスと集中力、これらの効果が三位一体となったところに、温熱効果による血流促進が合わさって、ふわふわとして心地よいのに頭ははっきりしているという不思議な感覚になるのだと考えられています。

アルコールではない、新しい「酔い方」を試しませんか?

お茶で酔う「茶酔」は、アルコールで酔うのとは違った新しいリラックスと交流の手段を提供してくれます。

この不思議で心地よい「茶酔」の世界に足を踏み入れてみませんか?きっと、お茶の新しい魅力と、心安らぐ時間に出会えるはずです。

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